古美術品に関するちょっとした知識を皆様にお伝えしたいと思います。 皆様のお役に立てれば幸いです。
古美術品に関するちょっとした知識を皆様にお伝えしたいと思います。 皆様のお役に立てれば幸いです。
掛け軸・お茶道具・絵画・陶磁器などの古美術品、骨董品の遺産を相続する場合には、相続の確定日から法律で定められた期間内に相続を行う旨の申請をする必要があります。 相続を行う物の中に書画・骨董品などの美術品が含まれている場合には、それらの専門家による評価が必要になります。
これら骨董品・美術品の評価につきましては、一般的にその道に精通し、古物商の登録を受けた美術商が、専門家として美術品評価書を作成することになります。
当相談所では、このような美術品評価書の作成や骨董品・古美術品の相続に関するアドバイスも行っていますので、お気軽にお問合せください。
「鑑定」は、主に明治以降の物故の書画に対して行われます。それぞれの作家に対応した鑑定者が登録されており、「鑑定書」が発行されます。鑑定者の鑑定がある物に関しては本物と認められ、流通においてもこの鑑定書が評価されています。鑑定者というのは時代と共に変更になる場合がございますが、現時点での鑑定者は美術年鑑のようなものを見れば分かります。
一方、古美術の世界でも「鑑定」されているものを見かけることがよくあります。古美術品の鑑定の場合、極札(きわめふだ)、箱書き、添え状などが一般的ですが、中には鑑定書というものもあります。これらは先の新画の場合と異なり、たやすく判断することはできません。まず、極札や箱書き自体が本物であるか、それを書いた人物が目利きで信頼出来る人物かどうかなど、非常に難しい要素が多々あるからです。したがって、古美術品の場合、これらの鑑定自体を見極める能力が必要ですので、一般の方は中身を重視した見方をされる方が無難と言えます。
こうした背景を踏まえ、当相談所では、古美術品の鑑定書の発行は行っておりません。しかし、真贋や時価についての評価に関するご相談には応じています。
古美術の世界の中で特に御茶道具および古書画(主に明治以前の書画)は、箱書きや伝来が評価の重要な要素となってくる場合がございます。中身の美術品そのものが良い物であることは必要条件ですが、さらに著名で評価の高い人物が、箱に題や銘と共にその人物のサインを書き付けている場合、または箱に所蔵印が押されて入る場合、「箱書きがある」または「箱がある」と言い、評価が高くなります。
また、この箱書きまたは蔵番と品名の書かれた木札や見出しなどから、所持していた人物(著名で評価の高い人物)が明確である場合、「伝来がある」または「伝来が良い」と言い、やはり評価が高くなります。
著名で評価の高い人物とは、茶の湯の家元、大名家(前田家、松平家、伊達家など)、著名な商人や実業家(鴻池家、平瀬家、益田家など)など様々な場合がございます。
大切な古美術品を保管する上で重要なのが箱です。箱は、丈夫で軽く、火に強くといわれる桐箱が最高とされています。箱には、蓋の形式(桟蓋、印籠蓋、おとし蓋)や組み方など様々な形式があります。
向付など数のあるものは個別に仕舞うために、箱の中を数に合わせて仕切りを作ったりすることもあります。また、中身がぐらぐらしないように、美術品がすっぽり収まるようなスペースを型どった、いわゆる「仕込み」を作ることもあります。箱には真田紐という紐をかけるのが一般的です。
桐箱は出来合いのものも販売されていますが、一般的には品物に都合の良い大きさの箱を指物師に作らせる方が、良いものが出来ると言えます。使用する板の厚さや紐の太さなども指定出来るため、費用は掛かりますが、好みの箱を作成することも出来ます。また、仕込みも、袋師などの職人が品物に合わせたものを作ります。なお、これらは全て職人作業なので、当然のことながら上手下手があります。
当相談所では専門の袋師が居りますので、美術品の箱や仕込みをお作りになりたい方は、お気軽にご相談ください。
茶の湯の世界では、御茶器を仕覆(しふく)から取り出すということが点前の中にあります。仕覆にはこのような「はれ」に舞台で用いられるものと、箱の中に大切に仕舞うための主に保管を目的としたものとがあります。
つまり、御茶碗、御茶器、御茶杓などの御茶道具だけでなく、一般的な鑑賞陶磁器などにも大切な品物を桐箱にしまうために、仕覆を作ることがあります。なお、茶碗などを包む古代紫色の縮緬(ちりめん)の仕覆を御物(ごもつ)と言います。
出来合いの御物が販売されていることがありますが、基本的にはオーダーメイドで、袋師といわれる職人に依頼することになります。
当相談所には専門の袋師が居りますので、美術品の仕覆をお作りになりたい方はお気軽にご相談ください。
形ある物の宿命として、時として不運にも破損する場合がございます。現代のように物が豊富な時代にあっては、壊れた物は捨ててしまって新しい物を購入することになるのでしょうが、貴重な古美術品はそうは行きませんから修理をすることになります。業界では「直し」という言葉が使われます。
焼物の場合、「金繕い」などのように修理箇所が分かるような直し方と、「とも繕い」と呼ばれ一見しただけでは修理箇所が分からないように直す方法とがあります。どちらが良いとは言えません。その品物にあった直し方をすることが求められます。
焼物以外にも、漆の物やお釜などの金工品の修理についても、それぞれ専門の職人が行います。書画の場合、表具屋がシミや破れなどの修理を行います。
表具と額は書画を引き立たせる上で、とても重要な要素です。その書画とのバランスがぴったりの、センスの良い表具を選択することが大切です。掛け物の表装は、本紙の内容に応じて、真、行、草の3段階の仕立て方法があります。また、文人好みの表具もあります。
古い書画の場合、それなりに古い裂(きれ)を用いることが望まれます。
品物によって保管方法は異なりますが、最も気を付けなくてはならないものは書画ではないでしょうか。 書画は虫喰いやシミを防ぐために、少なくとも年に1回は箱から出して空気にさらすことが望まれます。
ただし、直射日光は、絶対に避ける必要があります。そして、陰干しは晴れた日が続く場合に行うことが肝心です。通常の保管は、温度と湿度が安定していて、風通しの良い土嚢の蔵またはトランクルームのような場所が理想的です。
また、漆器の場合、強い乾燥と傷に注意が必要です。乾燥を防ぐためにも出来るだけ桐箱などに納め、温湿度の安定した場所で保管することが大切です。
金工品は、錆に注意が必要です。お釜のように水に触れるものは、充分に乾かしてから、布や紙などにくるまずに箱に仕舞う方が錆にくくなります。
美術品のいわゆる名品というものは、「ある所に行かないとない」と言われています。どういうことかと申しますと、名品というものはその時代その時代で大変な高値で取引されている場合がほとんどで、普通の人が手を出すことが出来る代物ではなく、相応の人の手から相応の人の手へと渡っている可能性が非常に高いということです。従って、「伝来」というものが生じ、尊重される理由があるのも頷けます。
しかし、それでも時と場合によっていつの日か忘れ去られ、何十年もあるいは100年以上もの間世の中の表舞台から消えてしまっている名品もない訳ではありません。また、かつてはそれほど名品として扱われておらず、高値で取引されていなかったのに、時代の流れの中で今日一躍名品としての地位を獲得したものがあるのも事実です。例えば、李朝などの民芸的な焼き物が良い例と言うことが出来ます。
当相談所もまだ見ぬ古美術品の名品と出会い、再び世の中の桧舞台へ誘う橋渡し役になれることができれば、これ以上の喜びはありません。