古美術品に関するちょっとした知識を皆様にお伝えしたいと思います。 皆様のお役に立てれば幸いです。
古美術品に関するちょっとした知識を皆様にお伝えしたいと思います。 皆様のお役に立てれば幸いです。
生まれつきの目利きの人はいないと言って良いでしょう。 つまり、目利きそのものは、遺伝しないと言うことです。 ではどういう人が目利きになれるのでしょうか。 端的に言いますと、目利きになれるかなれないかは、「その人の物の見方」と「良いものに、どれだけ多く接することが出来たか」と言った環境によって左右されるのだと思います。当世きっての目利きの方は皆一様に同じことを言われます。
一昔前までは、お茶会などに招待されて所有者の所に伺う機会がなければ、一流品にはめったにお目にかかることが出来なかったのですが、今では、幸い名品が沢山登載されている図録が数多く発行されていたり、美術館や博物館に足を運べば実際に現物を間近で拝見することが出来たりする訳です。 ですから、その筋に居なくとも目利きになるチャンスはいくらでもあります。
しかし、一般の方は、古美術商のようにいつも美術品のことばかりを考え、接している訳ではありませんし、商売をしている訳でもないため、物の見方というのがおよそ甘くなることは否めません。 それでも、正しい物の見方を身に付け、根気よく見続けることによって、より目利きに近づけるのではないでしょうか。
目利きになる物の見方とはどのようなものでしょうか。 まずは、とにかく好きになることでしょう。 そして、好きになるには沢山見ることです。 沢山見ていくうちに少しづつでも分かってきます。 そうすると好きになってくるという訳です。
次に、とにかく比較しながら見ることです。 同じ種類のものを比較していくうちに、どちらが優れているのかが分かってきます。 その違いこそが、物の魅力であると言えます。
最後に、最も大切なことが、とにかく買ってみることです。 大切なお金を使って買うことで、物を真剣に見るようになります。 良い物を手にした時の喜びは格別なものですし、不幸にも失敗したとしても、その悔しさをバネにすることが出来るのです。
注意しなくてはならないことは、決して初めは「自分目利き」にならないことです。 「自分目利き」とは、他人がどう思おうとも自分が良いと思うのだからそれで良い、という考え方のことを言います。 謙虚にいろいろな、できれば多くの目利きの人の意見を聞きながら感覚を磨いていくことが肝要です。
美術品を沢山見ると言っても、ただ図録ばかり見ていても目利きになることはできません。 やはり、実際に物に接することが重要です。 最も良い方法は文字通り「接する」こと、つまり「触る」ことです。 業者は「手に取る」という言い方をします。 書画であればガラス越しではなく、近くで見ることになるでしょうか。 一般の人は手に取ることはなかなかできないのが現状ですが、光悦会や大師会などの有名なお茶会や古美術店または古美術収集家などで、手に取ることが出来る場合がございます。
どの程度の「目利き」になりたいかと言うことにもよりますが、良い品物のない所でいくら勉強していても一生目利きにはなれません。 一流品を見極めるためには、一流品に接する機会がなければ不可能だと言うことです。 例え、買うことができないとしても、最上級の物を鑑賞出来る目利きを目指したいものです。
しかし、現在の日本は非常に恵まれた環境にあり、例え、手に取ることができないにしても、間近で名品を鑑賞する機会はそれこそいくらでもあります。 美術館や博物館は日本全国にたくさんありますし、特別展という形で開かれる展覧会などは格好の比較の場です。 ガラス越しに品物を見ると本当の良さが見えてこないという人もいますが、それでも最近は陳列方法も工夫され見やすくなってきていて、勉強の場としては充分と思います。
本物と偽物を判別するのは、とても難しいと言われています。「偽物を買ってしまった」などという話を良く聞きます。しかし、プロの立場から言いますと、本物と偽物の判別はさほど難しいことではありません。 問題は、本物の中にあって、それが「どのレベルのものであるか」を見極めることが出来るかどうかが重要なのです。 同じ作者の作品でも、それがAランクの出来の良い物なのか、中程度のBランクの物なのか、Cランクの物なのかを見極める知識と感覚が問われます。本当の目利きという人は、真贋を判別出来る人のことではなく、そのような見極めの出来る能力を持っている人のことだと言えるかも知れません。
最も大切なことは、良い業者と付き合うことです。 良い業者に出会うことが出来るまで、しばらくの間多少の勉強代を払いながらいろいろなお店に行ってみることです。 東京美術倶楽部などで開催される古美術展は、多くの店が出展しているので、そのような展覧会に出向いてみるのも良い方法だと思います。
そして、骨董屋に行く上で大切なこととして、ある程度自分の好みを持っておく必要があります。 どの様な物が好きか、自分の好みが相手に伝えられなければ前に進みにくいでしょう。
ところで、「良い業者」とはどのような業者のことを言うのでしょうか。 定義することは難しいのですが、まず第一に主人が目利きであることが挙げられます。 どんなに人格が良い人でも、目の利かない業者に良いものが集まる可能性は低いものです。
第二に自分と品物の好みが合うことです。 このことを「相目利き」と言ったりします。 そのお店に行くと、好みの商品に出会う可能性がおのずと高くなります。 こうした自分にとっての良い業者を、多過ぎないようにいくつか持つことが肝要です。 まずは、出入りの業者を作ることです。